一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、7月10日木曜に千代田放送会館で記者発表会を開催しました。今回も、原則としてプレス関係者(約50名参加)の取材に限っての開催となりました。
冒頭、主催者を代表して、A-PABの加増良弘理事長が次のように挨拶しました。

「今日は本当に酷暑の中、お集まりいただきありがとうございます。まず一言、ご挨拶申し上げます。
今回の記者発表会は2025年に入って最初のものとなります。BSデジタル放送にとって、2025年は非常に重要な一年となります。2000年12月にBS民放5局が開局し、NHKも同じ日にBSデジタル放送を開始しました。今年で25年、四半世紀が経ちます。その道のりは決して平坦ではありませんでした。例えば、私が所属するBSテレビ東京の場合、経営的に黒字化するまでに8年かかり、積み重なった借金を返すのにさらに12年かかりました。それほど大変な道のりだったのです。
ようやく一人前になった頃、2018年12月にBS4K・BS8Kの放送が始まり、まもなく7年を迎えます。A-PAB(一般社団法人放送サービス高度化推進協会)は、その前身の時代からBSデジタルの発展に寄り添い、技術企画やメンテナンスを行ってまいりました。これらが放送の基盤となっています。一方で、BS4Kの周知や広報活動にも力を入れており、毎年2回、今日のような記者発表会を開催しているのもその一環です。
さて、2025年以降はどうなっていくのでしょうか。私は、BSデジタルの新時代が始まったと考えています。4Kテレビは累計で約2,300万台近くまで達し、BSが視聴できる世帯の約半数以上が4Kを視聴可能な状況です。BS2K、4K、8K、そして有料・無料サービス、それぞれの個性が視聴者の皆様に浸透し、大いに活用される時代に入ったと感じています。
今日の記者発表会のキーワードは「プッシュ!プッシュ!」です。何のことでしょうか?この後、河合優実さんと一緒にプレゼンテーション致します。また、4K・8Kだけではありません。BS2K局の取り組みや、新たにスタートするテレビ局、ローカル局がタッグを組んだ新たなコンテンツ発信システムなど、新しい情報がぎっしり詰まっております。
BSデジタルは新しい時代に突入します。ぜひその魅力を取材していただき、皆様のメディアで大きく取り上げていただけることを期待しております。「プッシュ!プッシュ!」で、どうぞよろしくお願いいたします。以上、ご挨拶申し上げます。どうもありがとうございました。」
チャンネル再編から1年半~NHK衛星放送への取り組みについて

続いて、2023年12月1日、NHKのBSのチャンネル編成が変更されてNHKBSとBSプレミアム4Kのチャンネルが誕生して約1年半が経過しました。NHKの衛星放送取り組みについて、NHKコンテンツ戦略局 企画管理センター 下 要専任部長が現状などについて説明しました。下専任部長はBS編成担当者会議メンバーで、A-PAB周知広報委員長でもあります。
「改編の手応えや反響については、現在、1年半を過ぎたところで、だいぶ定着してきたと思っております。今回のキャンペーンとも関係するのですが、チャンネル再編の前後にはリモコンの4Kボタンを押して4Kをご覧ください、という周知を積極的に行ったことの影響もあってご自宅のテレビに4Kのチャンネルがあることに気づいていただき、4Kを見る人が底上げされ、朝ドラや大河などのドラマや大相撲を4Kで見る人が増えていると聞いています。反響については、12月1日の再編時は、個別の番組の放送予定をはじめ、4Kの視聴方法などのお問い合わせが多かったものの、2週間程度で落ち着き、安心したのを覚えています。
NHK BS、NHK BSプレミアム4K、NHK BS8Kの番組編成コンセプトとしては、2Kの『NHKBS』は、かつてのBS1とBSプレミアムの魅力を凝縮し『驚きと感動に出会えるテーマパーク的なチャンネル』として、国際情報、スポーツ、エンターテインメントなど、魅力あふれる番組を放送しています。
BSプレミアム4Kは、4Kならではの超高精細映像とスケール感で見ごたえのある番組と、貴重な映像資産を4Kリマスター技術でよみがえらせて放送しています。『新しいBSは、1日中ずっとワンダーランド!』というキャッチフレーズです。
連続テレビ小説『あんぱん』はNHKBSプレミアム4KでNHK総合より30分早い朝7時半から放送していますし、NHKBSではMLB中継で、大谷翔平選手はじめ、日本人プレイヤーの活躍を応援している視聴者の方が多いと伺っています。
この4月からのNHKBSプレミアム4Kの取り組みをご紹介します。
この4月から、4Kならではの高精細で貴重なコンテンツを多数揃えて放送しています。
平日16時台海外クラシックミステリー、土曜夕方の『大草原の小さな家』、そして金曜夜のウルトラマン初期の3部作『空想特撮シリーズ』を4Kリマスター映像で放送します。土曜夜間には、大型特集番組を編成しています。8月には「長岡の大花火」、青森三大ねぶた・ねぷた祭りの生中継、音楽ものでは、『Mrs.GREEN APPLEの10周年記念特番の完全版』など、多彩なラインナップを揃えています。土曜21時からは『4K映画」枠を新設し過去の名作や話題作を高精細映像で放送します。」
NHK・BS民放5社「BS4K8K衛星放送 4Kボタンをプッシュ!で見ようよ!キャンペーン」紹介
NHK下専任部長にそのまま壇上に残っていただき、「BS4K8K衛星放送 4Kボタンをプッシュ!で見ようよ!キャンペーン」を紹介いただきました。4K8K推進キャラクターのヨンハチさんも登場し、下専任部長との掛け合いで盛り上げてくれました。

「今回は私共NHKがキャンペーンの幹事社として、BS民放5社の皆さんと議論を重ねて内容を構築しました。2020年12月にスタートした4K8Kキャンペーンは今回で10回目を迎えました。4Kという新しい世界の魅力を広く皆様にお伝えするために、日頃切磋琢磨している各局が異例のスクラムを組んで、5年近くが経ちました。
今回、記念すべき10回目のキャンペーンをご紹介するPR15分番組には、ナビゲーターとしてNHK連続テレビ小説「あんぱん」に出演中の河合優実さんにご出演いただきました。「あんぱん」はNHKBSプレミアム4Kで総合テレビより30分はやく放送しています。ですので、4Kでも「あんぱん」をご覧いただきたいという思いも込めています。共通番組は明日以降NHKおよびBS民放各局で放送されますが、ヨンハチさんも出演していますので、是非ご覧ください。
キャンペーンでは、各局に珠玉の1本を選んでいただき、7月18日から31日にかけて放送していきます。今回のラインナップ全体を通じて、4K8K衛星放送のクオリティの高さがわかると思います。より多くのかたに4Kボタンをプッシュして、素晴らしい4Kの世界に没入していただきたいと思います。本日は各番組の番宣映像と出演者コメントをご用意いただきましたので、ご覧下さい」
ここで一旦、下専任部長とヨンハチさんは降壇し、NHKおよびBS民放5社のイチオシ番組の番宣映像と出演者コメントをが約10分間にわたり上映されました。


スペシャルゲスト河合優実さん登壇
続いて、NHK BSP4Kの推し番組である「連続テレビ小説あんぱん」で、今田 美桜さん演じる主人公の朝田のぶの妹、朝田蘭子を演じる河合優実さんがスペシャルゲストとして登壇しました。河合優実さんは黒のシックな装いで登場し、撮影の手応えについてこう語りました。

「撮影は昨年9月から始まったので、もうすぐ1年。もう終盤ですね。こんなに長期間の撮影をしたことが無いので、チームとしての愛着が全員で深まっています。前半から印象に残るシーンがたくさんあり、家族というふうに自分の心で感じられるようになってきました。のぶが次郎さんと結婚して祝言をあげるときに、きれいな着物を着て家の中でお祝いするときに次郎さんのお母さんを演じる神野三鈴さんが感極まってまだカメラが回っていないときに「綺麗ね」と言って涙ぐんでしまったことがありました。そのとき、のぶを演じる美桜さんも「そういわれたら泣きそうになって来た」と言って。本当の家族みたいですよね。長女の結婚が皆嬉しいという実感がありました。そんな瞬間が増えましたね」
「連続テレビ小説あんぱん」はNHK総合よりも30分早い朝7時半からNHKBSプレミアム4Kでも放送中で、河合さん自身もキャンペーンの共通PR番組でナビゲーターを務めました。4K映像でこのドラマを見た感想について、河合さんは「見始めた瞬間から目に見えて違いがわかるくらいの映像美でした。人物だけでなく、背景、例えば高知県のロケの美しさなどいろいろなことも含めて、映像表現として幅が広がっているようにみえました。」と笑顔で話しました。
メディアとの質疑応答も行われ、「河合さんは学生の頃はダンス部に所属、そしてミュージカルもお好きだとうかがっています。もし河合さんがミュージカルに出演されて、それを4Kで収録するという話が企画されたとしたらどんなミュージカルに出たいですか?」という質問には「ショウビジネスそのものを題材にした作品のほうが楽しいかな。好きな作品に「コーラスライン」があるんですけど、あとは「シカゴ」ですかね。良い画質と音で見れたら楽しいかなと思います」と答えました。また、「さまざまな作品にご演されている河合さんですが、もし世界に向けた4Kテレビドラマに出演されるとしたら、どんな内容のどんな役を演じたいですか?」という質問には「舞台と違ってドラマ作品ということだと、衣装や細かい美術の作り込みがとても精細に見えると思うので、自然の日常ありのままを映すものより作り込みが多い時代劇やファンタジー作品が良いかなと思います」と答えました。

フォトセッションでは、河合優実さんとヨンハチさんが15分PR番組でも披露した息の合った「4Kボタンをプッシュ!プッシュ!」ポーズで笑顔を見せてくれました。「連続テレビ小説あんぱん」撮影の多忙をぬって登壇した河合優実さんが放つ俳優としてのオーラと説得力のあるコメントひとつひとつが取材メディアに鮮烈な印象を残した登壇となりました。

ルミエール・ジャパン・アワード2025開催発表
続いて、先進映像協会日本部会 河合隆史会長(早稲⽥⼤学理⼯学術院・教授)から、ビデオメッセージにて『ルミエール・ジャパン・アワード2025』開催発表と、アワードの紹介がありました。

「先進映像協会の日本部会は、日本の先進映像の制作技術やコンテンツ表現を、教育・啓発・表彰活動を通して、発展・普及させることを目的とした業界団体で、ハリウッドを拠点とする米国本部の支部として2011年に設立されました。当社は立体映像(3D)を対象としていましたが、徐々に拡大し現在では4K、8K、VRを対象としています。
『ルミエール・ジャパン・アワード』は、国内での上映、放送などの利活用を目的とした制作された先進映像コンテンツを募集し、優れた作品を表彰することで、日本における先進映像コンテンツの拡大と品質向上を目指し、2011年より継続して開催しています。本アワードのトロフィーは、米アカデミー賞のオスカー像も製作している R.S. Owens Company によるものです。
『ルミエール・ジャパン・アワード2025』では、3D部門、4K部門、8K部門、VR部門の4部門を対象として、7月22日から募集を開始します。厳正な審査の結果は、11月19日のInter BEE 2025において実施される『ルミエール・ジャパン・アワード2025』表彰式で発表します。受賞した作品は、米国本部が主催される『Creative Arts Lumiere Awards』へのエントリー資格が与えられます。昨年の『Creative Arts Lumiere Awards』には、3D、4K、8K、VR/ARなどの先進映像技術を用いて制作された錚々たる作品がエントリーされました。
2023年度から引き続き今年も、4K部門、8K部門を、A-PABと共催させていただきます。4K・8Kコンテンツやサービスの高度化推進のために、双方の強みやネットワークを活かしながら、シナジーの高いアワードを運営します。」
BSよしもと 万博中継の取り組みについて
BS2K放送として2022年3月に開局したBSよしもとでは、連日、大阪・関西万博からの中継を行っています。この取り組みについて、BSよしもと株式会社 金田 耕司 代表取締役専務 にご紹介いただきました。

「BSよしもとは、開局以来、地方創生を開局理念としています。開局当時から、吉本興業として万博にパビリオンを出展することが決まっており、登記上、大阪を本社とするBS局として、大阪・関西万博をいかに盛り上げるかは課題でした。開局から4年目に突入したばかりのBS局としては、大阪から中継するには、正直申しまして予算の問題もありました。
解決策として、新たに番組を立ち上げるのではなく、地方創生のシンボル番組で月曜~木曜の13時-16時で編成している帯の生番組<ジモトノチカラ>をベースに放送することが効率的だと判断しました。そして、週に1度なのか毎日の放送なのか、ネタはもつのかなど、様々な協議を行いました。実際には万博中継の制作とキャスティングを吉本興業の大阪本部に発注していますが、万博の魅力伝えたいという彼らの熱い思いが、毎日放送を決定する決め手となりました。毎日放送するとなると、コーナーの『顔』であるレポーターには毎日出演できる芸人を起用する事にしました。毎日スケジュールが空いている芸人となると知名度の低い人となるわけですが、教員免許を持ち情報のリサーチ力が優れ情報をまとめる力をもっているということで、テレビ初出演・芸歴6年目の はじめましてはじめ を登用することにしました。また、有名芸人をゲスト迎えて知名度を補っています。
万博中継のプロデューサーによりますと、万博関係者は、皆で盛り上げよう/一緒に楽しもうととてもポジティブな思考の人が多く、非常に協力的で大きな苦労は特にない無いということです。さらに、吉本芸人が世界中の方々の交流の橋渡し役を担えたらうれしいという思いで毎日ネタを仕込んでいるということです。
吉本パビリオンのテーマのひとつは、<笑いと健康>です。吉本興業と様々な専門家が<笑いと健康>の関係を研究していますが、万博中継コーナーの最後では、芸人のギャグをベースにした<ワラケンギャグ体操>のVTRで締めています。このVTRは万博の吉本パビリオンでも流しています。実際にやってみると、かなりきつい運動です。みなさんも放送をご覧になってぜひお試しください。」
J:COM BS放送サービス開始挨拶
続いて、7月1日に新たに放送サービスを開始したばかりのJ:COM BSについて、JCOM BS株式会社伊藤彰伸常務取締役よりご紹介いただきました。

「本日はこのような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。私どもは、7月1日に新たに開局いたしました、まだ開局から10日ほどの新しいBSデジタル局でございます。まさに「よちよち歩き」、まだ歩き出したばかりとも言えない段階でございます。
今回、BS松竹東急様が6月30日をもって閉局されたことを受けまして、私どもがその事業を継承し、翌7月1日に「J:COM BS」として新たに開局いたしました。本日は、まずそのご報告をさせていただきます。今後、編成方針などが決まり次第、改めてご案内できればと考えております。チャンネル名は「J:COM BS」、社名もBS松竹東急株式会社から「J:COM BS株式会社」へと変更いたしました。チャンネル番号はBS260chで、BSよしもと様の隣で、7月1日より放送を開始しております。
とはいえ、6月18日に継続放送を正式に発表させていただいたばかりで、開局までの準備期間は非常に短いものでございました。そのため、現状では1日14時間の暫定的な放送時間となっておりますが、今年10月には、24時間体制での放送を開始できるよう準備を進めております。
また、番組情報についてですが、BS松竹東急様の6月末での終了に伴い、各種ガイド誌などへの情報提供が一時停止しており、ご迷惑をおかけしております。現在、日刊・週刊ベースでの提供を再開し、月刊誌についても、今月20日提供予定の「9月放送分」から順次再開予定でございます。
さらに、ホームページも現時点では、旧・松竹東急様のドメインにある「お知らせ」と「番組表」程度の情報しか掲載できておりませんが、来月を目途にリニューアルし、番組情報などをしっかりご提供できる形に整えてまいります。
私たちJ:COMはこれまで、ゴルフネットワーク、J SPORTS、チャンネル銀河といった有料放送チャンネル、そしてJテレやJ:COMチャンネルといったコミュニティチャンネルを中心に放送してまいりました。今回のように「全国向けの無料放送」を行うのは、私たちにとって初めての挑戦となります。グループの力を集結し、視聴者の皆さまにお楽しみいただけるチャンネルを目指してまいります。
ちなみに、暫定放送期間中の7月第1週の土日には、J SPORTSで放送している「ツール・ド・フランス」の第1日目・第2日目をJ:COM BSでも放送いたしました。このように、今後もさまざまな工夫を凝らしながら、皆さまに楽しんでいただけるコンテンツを、10月の本格稼働に向けて作り上げていきたいと考えております。
BSデジタルの一員として、新たに加わらせていただけたことを、大変光栄に感じております。今後とも、皆さまのお力をお借りしながら、放送局としての体制を整えてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
以上、ご報告とご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。」
A-PABローカルコンテンツバンクについて
最後に、A-PAB「ローカルコンテンツバンク(LCB)実証事業」について、北海道テレビ放送株式会社 社長室部長 阿久津友紀 社長室部長 (A-PAB CTV検討部会 SG3 副主査)にご説明いただきました。

「貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。A–PAB様にご協力いただき進めております「ローカルコンテンツバンク(LCB)実証事業」について、ご説明いたします。私は、この実証においてローカル局の担当をしております、北海道テレビの阿久津友紀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、昨年12月末から本年3月2日までの期間中、「TVer」において、全国55局が参加する「とっておき街ネタ情報」というローカルコンテンツの配信が行われていたことをご存じでしょうか?この取り組みは、北海道から沖縄までの地上波民放55局が、それぞれ持つショートコンテンツに適切なメタデータを付与し、蓄積・整備・再構成して届けるという、「ローカルコンテンツバンク(LCB)」の実証実験の一環です。私たちローカル局は、近年「放送と配信の融合」が進む中で、様々な課題を感じています。
ドラマやバラエティなど、いわゆるプレミアムコンテンツを日々制作しているわけではありませんが、地域の日常や風景、文化など、そこにしかない生活情報を大切に届けています。しかし、そうした“路地裏コンテンツ”は、一度放送された後に再利用される機会が少なく、その価値が埋もれがちです。この実証では、地域情報コンテンツを「貯めて、整えて」、再び価値あるものとして提供する道を探っています。
LCBは、コンテンツの流れにおいて「川上」にあたる存在です。開発された「メタサポシステム」を通じて、各局がローカルコンテンツをアップロードし、その中身に応じたメタ情報(タグや概要文など)を付与します。例えば、網にかかった魚をばらばらにするのではなく、特徴ごとに並べ直して「食べたいもの(=見たいコンテンツ)」を選びやすくする──そんなイメージで、テーマに沿ってコンテンツを束ね、再編成します。
動画をアップした各局の素材は、カタログサイトに転送され、「北海道の味噌ラーメン特集」や「全国の絶景温泉特集」など、プレイリスト形式で構成することが可能です。出来上がったコンテンツは、VODやFASTなどの形で配信プラットフォームへ提供され、視聴が可能になります。この「メタサポシステム」はAI機能も備えており、動画内容を自動的に分析し、SNS映え・ご当地グルメ・癒し動画などのキーワード、いわゆる「LCBタグ」を提案してくれます。
また、「ラーメン」といったキーワードでも、カタカナ・ひらがな・漢字などの表記揺れを防ぎ、誰でも同じ品質でメタ情報を付与できるよう工夫されています。さらにAIは、文字起こしテキストから概要文の要約も行い、20文字や150文字など、配信先ごとに適した説明文を自動で生成します。人はそれを確認・微修正するだけで済むため、作業負担も軽減されます。
LCBでは、番組のSI情報とコンテンツを紐づけることで「テレビ由来の信頼性」を担保し、IPG社の番組表(Gガイド)上での活用にもつなげております。すでに見逃し配信として、地方の番組がウェブで視聴可能になっていますので、ぜひご覧ください。昨年度の実証では、55局の担当者が「ラーメン特集」や「癒される動画」などのプレイリストを作成し、TVer様やSpoox様に配信されました。この実証を通して、地元視聴者のみならず、地域をまたいでも価値あるコンテンツとして届けられるという手応えを感じております。
本年度も実証は継続中で、参加局も55局から63局へと増加しています。「ご当地番組」欄は、カタログサイトのトップページ下部にありますので、ぜひご確認ください。地域の安全・安心に根ざした情報を、ローカル局が協力し合い、系列の枠を超えて届ける──そのために共通のシステムを活用することが重要だと考えています。
このLCBという取り組みにより、日本全国、さらには世界にもローカルコンテンツの魅力を発信していけると信じています。新しいテレビ放送の価値を創造し、地域を元気にする一助になれば幸いです。応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ご清聴ありがとうございました。」
以上を以って、盛況のうちに記者発表会は終了しました。